選定委員ひと事
第1回「にほんの里100選」選定委員会は2007年10月24日に開かれ、事業説明のほか選定基準案などを討議した。
山田洋次さん

山田洋次さん

映画監督=委員長
48作続いた「寅さん」シリーズなどで、旅情や郷愁をかきたて、ぬくもりのあるロケ地を探して各地を回り、里の景観にも詳しい。

「寅さんの撮影は、地方の美しい景色が消えていく後を追うことに似ていた。絶望は簡単だ。だが、まだ早い。まだ美しい里はある。大事なことは、暮らし方や生き方だ。写真には写らない取り組みを取り上げたい」
あん・まくどなるどさん

あん・まくどなるどさん

国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長
lカナダ生まれ。農山漁村に魅了され、日本の海岸線の8割を踏破している。

「南北に長い日本は土地ごとの表情がある。四季を感じさせる100選になればと思う。漁村にも注目したい」
森本幸裕さん

森本幸裕さん

京大大学院教授(景観生態学)
人々の健全な生活とともに地球を守り育てる「緑の環境デザイン学」を研究。

「里は全体としてまとまりのある美しさを示しており、含蓄のある言葉だ。里の中身を問い、深化させていきたい」
鷲谷いづみさん

鷲谷いづみさん

東大大学院教授(保全生態学)
ヒトこそが、持続可能な生態系の再生に知恵を絞るべきだと訴える。

「里でふつう見られた生物で、みかけなくなったものも多い。生き物へのまなざしを取り戻すきっかけにしたい」
粕谷卓志さん

粕谷卓志さん

朝日新聞編集担当
76年に朝日新聞社入社。東京本社社会部長などを歴任。07年6月に現職。

「食への視点もあっていい。美しさ、おいしさ、そして健康といった多様なものが人々の心に残る里100選にしたい」