にほんの里100選ツーリング45 ▽豆酘・長崎県対馬市(89)
●加部島(佐賀県唐津市)→唐津港→壱岐印通寺港(長崎県)→郷ノ浦港→厳原港(長崎県対馬市)→豆酘
▽豆酘・長崎県対馬市(89)
5月31日 加部島から唐津港はいろいろなルートがある。国道や県道を自分では最短距離を走ったつもりだが定かでない。唐津港からフェリーで壱岐印通寺港へ。対馬市行きのフェリーに乗換えるため、壱岐の島内を8kmほど走って郷ノ浦港へ。郷ノ浦港からフェリーで対馬市厳原(いずはら)港へ。厳原港から豆酘(つつ)までは30km。2時間あれば着くだろうと思ったところが激坂のため3時間近くかかって豆酘に着く。豆酘では対馬市役所で紹介された、ご主人が豆酘の歴史にも詳しく、ガイドもできるという民泊ごんどうに泊まる。ご主人の話では、豆酘は人口2千人ほどの集落で高齢化が進んでいる。漁業が主な産業で、他にも林業やみかん栽培、近年はビワの栽培も盛んになってきた。対馬山ネコは豆酘では小学生のとき見たのを最後に、それ以来見たことはないという。1泊のつもりだっが、ブリの内臓やヒラマサの刺身など料理が美味しいので、もう1泊し、明日は島を案内してもらうことにする。走行距離52.44km。
6月1日 今日はご主人のクルマで豆酘を案内してもらう。豆酘港では巻き胴をみる。巻き胴は古くからある船を海から引き上げる道具で、初めてみる珍しい道具だ。次に対馬で唯一の真言宗の寺金剛院へ。この寺は弘法太師が立ち寄り、1200年の法灯が今に伝わっている。次に豆酘崎へ。荒海に点々と小島と岩礁が続き、その向こうに真白い灯台が建っている。このあたりは潮流が速く、朝鮮海峡と対馬海峡の境界にあたり、昔から厳しい水路だという。クルマで走っていると蜂胴が目につく。対馬は日本蜜蜂の宝庫。この蜂胴では蜂蜜が年に1升ほど採れるという。次に赤米のたんぼへ。赤米は稲の原生種で、日本で最初に伝わったのが豆酘。赤米神事は伝統的なもので、赤米を植栽する貴重な神事が今も続いている。次にイスノキ、スダジイなどの樹木が林立する瀧良山(たつらさん)へ。ここは自然度が極めて高い原生林だ。宿に帰って、隣家の海士(あま)藤さんの話を聞く。豆酘には海士が70人ほどいる。漁期は決まっていて4月から5月15日までと6月16日から9月いっぱい。あとは禁漁期。権藤さんが海に潜るのは、午前午後それぞれ2時間。1日にサザエを30kgほど採る。アワビは今では少なくなってほとんど採れないという。宿の夕食はブリの刺身や内臓、カワハギのフライ、さつま芋を臼で砕いて、でんぷんを取り出し、天日干しをしたものを、フジツボのスープにいれたろくべい汁という料理など昨日から初めて食べる珍味が美味しい。料理が美味しいのでもう少し泊まりたいが、それではにほんの里を100ヶ所がまわりきれなくなりそう。後ろ髪を引かれるようだが明日は博多に行こう。
写真は巻き胴、豆酘崎、蜂胴、赤米神田。
2009年06月01日