奥山の沢に水車小屋
北上山地・遠島山(とおしまやま 1262m)の山懐に点在する旧6カ村が、藩政時代から山根六郷と呼ばれてきた。久慈市山根町の6集落(端神、木売内、上戸鎖、下戸鎖、細野、深田)である。奥山の沢の清らかな水とともに、伝統的な暮らしが受け継がれてきた。
板壁や茅(かや)ぶきの古民家が残る。かつて塩作りの盛んだった北三陸沿岸部の野田や久慈と内陸部を結ぶ「塩の道」沿いにあり、「たたら製鉄」で栄えた。
人々は昔からソバ、豆、雑穀を主体に険しい土地で農業を営んできた。雑穀をひく水車小屋は里のシンボルになっている。水車広場で開かれる「くるま市」では、郷土料理の豆腐田楽や手打ちそばを味わえる。
(グリーンパワー2016年8月号から転載)