石垣並ぶ急斜面の集落
鹿児島市の南西約50km、東シナ海に突き出た野間岬にそびえる野間岳(591m)の裾野にある大当集落。急斜面に張り付くように点在する民家や畑を囲む石垣群が、地域の人々の命と暮らしを長年にわたり守ってきた。
石垣は総延長約1.2km。野面(のづら)積みされ、迷路のように地区を縦横につなぐ石垣に使われた自然石は、約100万個といわれる。周辺集落にもかつて石垣があったが、台風被害による倒壊やブロック化でほとんど残っていない。昔のままの姿を今に伝える大当集落の石垣群は、貴重な遺産である。
大当の石垣は、厳しい自然環境の下で半農半漁の暮らしを続けてきた地域の先人たちの知恵の結晶だ。
(グリーンパワー2016年11月号から転載)