早春彩る奇祭とツバキ
五島(ごとう)列島西端の福江島は、韓国の済州島までわずか200kmほど。崎山地区は、福江島の東側にある鬼岳(標高315m)のふもとの里だ。
崎山では1月に「ヘトマト」と呼ばれる奇祭、2月には特産のツバキの開花期に合わせた「五島椿まつり」があり、早春を迎える島がにぎやかに彩られる。
「ヘトマト」の語源は不明だが、大漁・豊作と子孫繁栄を願う行事で、国の重要無形民俗文化財。祭りの圧巻は、体にススを塗った締め込み姿の若者たちが全長3mもある大わらじを担いで練り歩き、未婚の女性を見つけると上に乗せて胴上げする場面だ。かつては住民だけの祭りだったが、最近はこれを目当てに訪れる観光客も増えているという。
(グリーンパワー2016年10月号から転載)