茶堂が地域の交流拠点
「茶堂(ちゃどう)」と呼ばれる東屋(あずまや)風の木造の建物が、城川町地域の道沿い約50カ所に点在している。江戸時代に盛んに建てられたらしく、現在でも茅(かや)ぶきの屋根のふき替えなど、手入れが住民の手で行き届き、受け継がれている。
三方には壁がなく吹き抜け。正面奥の板壁の棚には弘法大師像などが安置されている。腰掛けるのにちょうどよい高さの床で、ごく自然に通りがかりの人を誘(いざな)う仕掛けとなっている。お茶や菓子、おにぎり、漬物などが住民の手で振る舞われる。簡素さ、素朴さが現代人の心に響く。「地域の交流拠点」の原型と言っていいだろう。
毎年6月には、地区の茶堂や棚田を巡る「虫送り」行事も続いている。
(グリーンパワー2016年11月号から転載)