ブナの山を仰ぐ棚田
四国には珍しいブナの原生林が残る高丸山(標高1439m)を仰ぐ集落が八重地。第二次世界大戦中には、ブナを伐(き)って飛行機のプロペラを作る話が持ち上がったが、地域の人々が徳島県庁まで出かけて直談判し、水源の森を守った話が伝わっている。
小高い丘に拓(ひら)かれた棚田は、今も山腹の谷から引かれる水によって豊かに潤う。圃場(ほじょう)整備が施されたものの、景観を重視して自然に近い曲線的な形を残しているのが特徴だ。周囲にはスダチやユズなどの畑も広がる。
地区内に立つ国の重要文化財・田中家住宅(内部は非公開)は1685(貞享2)年の建築だ。茅葺(かやぶ)きの古民家を活用しようという計画もある。
(グリーンパワー2017年3月号から転載)