築地松が点在する景観
クロマツの高生け垣である「築地松(ついじまつ)」を配した屋敷が点在する出雲平野。中でも斐川町エリアに多い。樹高は10m前後で、古い木は樹齢200 年に及ぶという。上部がやや広がり、厚さ1.5m ほどに刈りこまれた独特の姿は、「陰手刈(のうてごり)」と呼ばれる4~5年に一度の剪定で維持されている。
宍道湖に注ぐ斐伊川は、氾濫を繰り返していた。人々は屋敷の周りに洪水対策の土塁を築き、そこにクロマツを育てたのが築地松の始まりとされる。主に屋敷の北側と西側で冬の季節風を防ぐ効果が高い。マツクイムシの被害や維持管理の負担を理由に、数を減らした時期もあった。行政と住民が協力して、景観の保全に取り組んでいる。