牧畑の知恵で景観保つ
西ノ島は松江市の北約70㎞にある隠岐諸島の島の一つ。「牧畑(まきはた)」と呼ばれる、3年の畑作と1年の放牧を繰り返す独特な輪作が、約800年前に始まった。
牛馬のふんや尿が土地を肥やす持続的な農地経営の手法だったが、高度経済成長期の1960年代には姿を消してしまった。その後、歴史的・文化的価値が再評価され、遺産として次代へ伝えていこうという動きが地元で始まっている。
旧牧畑地区は現在、西ノ島町が管理する公共牧野となっている。放牧されているのは牛約600頭、馬約50頭。険しい島の地形で足腰が鍛えられ、家畜市場での評価は高い。
日本海の風が吹き渡る雄大で美しい草地景観は、先人の知恵の賜物なのだ。
(グリーンパワー2016年3月号から転載)