漁村歌舞伎120 年の伝統
佐井村は、マグロ漁で有名な大間町の南隣の村だ。福浦地区は、津軽海峡にまさかりのような形に突き出た下北半島の西岸、刃の部分の中ほど。厳しい気候と自然の漁村に、120 年以上受け継がれてきた歌舞伎文化がある。
「福浦の歌舞伎」。明治中期、上方役者の中村菊五郎・菊松夫妻が当地を訪れた際、地元の人々に歌舞伎を教えたのが始まりとされている。初演は1890(明治23)年。1984 年に青森県の無形民俗文化財に指定された。
毎年3 月下旬に特別公演があり、県内外から大勢の観客が詰めかける。「義経千本桜」「一ノ谷嫩(ふたば)軍記」「忠臣蔵」などの演目が上演され、1999 年に完成した「歌舞伎の館」が華やぐ。
(グリーンパワー2016年3月号から転載)