熊野古道が通る山里
紀伊半島の奥部で、山が折り重なって果てが無いから「果無」なのだそうだ。標高約380m の集落には石畳の道や民家を囲う石垣が築かれ、田畑や周囲の斜面はスイセンやサクラ、アジサイ、緑の田んぼ、熟した柿の実などで季節ごとに彩られる。その美しさから「天空の郷」とも呼ばれる。
この集落を、高野山・熊野本宮大社間(約70km)を結ぶ熊野古道の一つ、小辺路が通る。寄せ合って暮らす人々は、遠くから訪れる巡礼者に優しい。2004 年に世界遺産となってからは、海外からやって来る人も増えた。集落から三十三観音石仏に見守られながら、標高1114m の果無峠を越えて5時間半ほど歩けば、本宮大社にたどり着く。