穂谷(ほたに)大阪府

都市のはざまの雑木林

市の南東部にあり、棚田やため池、雑木林などの里山景観が残る。大阪の市街地近郊ながら、生物多様性も豊かな里である。

  • 交通:第二京阪道枚方東ICから車で10分/近鉄京都線新田辺駅からバス15分/JR片町線津田駅からバス20分/京阪枚方市駅からバス35分、穂谷下車
  • 食事:農園 杉・五兵衛(園内で栽培・収穫した食材)072-858-0070
  • 直売:穂谷ふれあい市(穂谷の農産物)072-858-8044
  • 宿問い合わせ:枚方市観光協会 072-804-0033
  • 関連ウェブサイト:枚方文化観光協会

※ 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。

※ 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。

2014年12月08日

ガイド にほんの里100選12 グリーンパワー2014年12月号から

都市近郊の里山 守るモデルに
 
 さまざまな自然環境で調査を続ける環境省プロジェクト「モニタリングサイト1000」(モニ1000)で、里地の重要な調査対象に選ばれているのが穂谷(ほたに)。2005年に始まった調査を通して、里地里山の風景の中に豊かな生物多様性が残っていることが確認されてきた。
 

秋には農地の一画がコスモスのお花畑になる


 例えば植物なら650種前後が自生し、大阪府における絶滅危惧種も20数種が含まれる。タヌキ、キツネ、ニホンザル、ニホンリスなどの在来の哺乳類が生息し、チョウやトンボなど昆虫の種数でも全国的に見劣りはしない。調査員の一人であり、枚方いきもの調査会代表を務める石川新三郎さん(71)は「棚田やため池が維持され、そこに湿地の植物が保全されている重要な場所だ。ノスリやオオタカといった猛禽類(もうきんるい)が見られ、キビタキやオオルリなどの夏鳥が繁殖しており、野鳥の生活にも貴重な環境だ」と話す。
 
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 モニ1000の調査区から少し離れた場所には、約20年前に圃場(ほじょう)整備された農地が広がる。一部は秋に見頃を迎えるコスモスやヒマワリのお花畑になる。これらの花は見るだけでなく、有料(コスモスなら10本100円)で摘み取ることもできる。ここを会場に開かれる10月の収穫祭は、市内や近隣からたくさんの人々が訪れる人気のイベントだ。

ボランティアの手が加わって整備されている里山林


  
 穂谷農業振興協議会で要職にある岡本春彦さん(71)は「地域のイメージを高めようと、みんなが協力して始めたのがお花畑だった。次に手がけたのは黒豆栽培。穂谷は夜の冷え込みがきつくて良い豆ができるため、農家の収益増にもつながっている」と語る。
 
 悩みは、タケが広がったりナラ枯れが発生したりしている周囲の森林の手入れだ。整備を続けるボランティア団体に、地域や行政の関係者も加えた森づくり委員会が組織され、定期的に話し合いが持たれている。都市近郊の里山を守っていくモデルに育ちうるかどうか。今後の動きに注目が集まっている。
  
(グリーンパワー2014年12月号から転載)

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