2017年08月21日
岩尾池の一本杉
にほんの里100選の地、甲南町杉谷新田の少し奥まった場所に、灌漑用ため池として利用されている岩尾池があります。その池のほとりに、滋賀県の自然記念物に指定されている「岩尾池の一本杉」が立っています。現地の表示によると、その幹回りは4.7m、樹高は15mとされており、伝承に基づくと樹齢は1000年以上だそうです。
その伝承とは、天台宗の開祖として知られる伝教大師・最澄上人(766~822年)にまつわるものです。最澄がこの地を訪れた時、食事の後に使用後の箸を地面に突き刺したものが芽吹き、この杉になったというのです。最澄上人が生きていた時代をもとに考えると、樹齢は約1200年ということになりますね。杉谷という地名も、この一本杉にちなんだものと言われています。杉谷新田は江戸時代に開かれた集落のようですが、京都や奈良に比較的近いこともあり、杉谷の地域全体としては、かなり古い歴史を持っているのかもしれません。この一本杉は、その歴史を今に伝えてくれる存在のようです。