稲作文化のアート作品
屋敷林に抱かれた散居民家約7000軒が、約220㎢にわたり広がる。長い年月をかけて人々の営みが作った風景は圧巻。日本の稲作文化が生み出した壮大な野外アート作品と呼べる美しさだ。
散居村は庄川の作った扇状地、砺波平野にある。水の豊かな扇状地だけに、どこを開墾しても容易に水を引くことができた。我が家の周りが我が田んぼ、という造りは、日々の農作業をする上で極めて合理的。砺波平野の開拓が急速に進んだ中世末から近世初頭にかけて形成された集落形態という。
屋敷林は「カイニョ」と呼ばれ、防風雪と夏の暑さをしのぐための先人の知恵。杉、栗、柿、梅のほか女の子が生まれると桐を植えて嫁入りに備えたという。
(グリーンパワー2016年5月号から転載)