コンニャクの在来種守る
常陸太田市の中心部から北へ約25km。持方は11世帯26人が暮らす山あいの小さな集落である。隣接する大子町(だいごまち)の観光地「袋田の滝」と違い、ひっそりとした「隠れ里」のような存在だ。
在来種のコンニャク芋作りが受け継がれている。農家が手間暇かけて育てている在来種は、一般的な普及品種に比べずっと玉が小さく収量は少ない。だが、独特の風味と弾力で「在来種ならではのおいしさ」と評判だ。地域の婦人部が加工販売で活躍している。
持方には古文書が数多く残っている。年貢の出納帖(ちょう)には△や□などの記号も使われ、文字の読めない人でも理解できるような工夫がある。民俗学者の柳田国男も取材に訪れた。
(グリーンパワー2016年4月号から転載)