上畑野川(かみはたのかわ)愛媛県

農も林も里も元気印

農業とともにマス、イワナの養殖も営む。里山も手入れが行き届く。集落の「元気の素(もと)」は、世代を超え交流する婦人グループ。

  • 交通:松山道松山ICから車で40分/JR予讃線松山駅からバス乗り継ぎ90分
  • 特産:マス、イワナ
  • 食事:民泊 土居(古民家:要予約)0892-56-0702
  • 宿問い合わせ:久万高原町観光協会 0892-21-1192
  • 関連ウェブサイト:久万高原町観光協会

※ 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。

※ 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。

79. 上畑野川

2014年03月10日

ガイド にほんの里100選3 グリーンパワー2014年3月号から

冷涼な気候 里道と林業が魅力
 

 町の北東端に西日本最高峰の石鎚山(1982 m)を抱く、名前の通り高原の町、久万高原町(くまこうげんちょう)。松山市から町の中心部まで車で40 分ほどながら、冷涼な気候で「四国の軽井沢」とも呼ばれる。ミカンで有名な愛媛では珍しく、リンゴが特産なのもうなずける。

茅葺き屋根も残る「上畑野川」の晩秋。冬は雪景色となる日も


 

 同町は2004 年8月に旧久万町、面河村、美川村、柳谷村の4町村が合併して誕生した。東南側は高知県と接している。町西部の旧久万町内にある上畑野川(かみはたのかわ)地区は、明るく開けた谷間に茅葺(かやぶ)き屋根の民家も残る山里だ。手入れの行き届いた段畑や水田を巡り、フットパス(里道)歩きを楽しめる。
 

 この土地の自然を愛する町内外の人たちでつくる「久万高原遊山会」会長、土居通秀さん(72)=同町下畑野川=は「田舎の本当の良さを、地元の人と対話、交流をしながら、ゆっくりと味わって」と話す。会の活動として登山道や散策路の手入れ、道標整備を進めている。上畑野川では花の苗を住民に配った。地元の婦人グループの熱心な活動と相まって「にほんの里」の魅力をさらに高めている。
 

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スギの大木について説明する林業家の岡信一さん(手前)


 町内で営まれている林業は「久万林業」と呼ばれる。1960 年頃から減少の一途だった林業就業者数が、2005 年に底を打ち、増えてきた。森林面積は町の9割。その82%が民有林で、民有林の人工林比率は86%。人工林のうち7割がスギ、3割がヒノキ。全国有数の林業地だ。その礎を築いたのは、明治初頭に地元の四国霊場44 番札所・大宝寺執事として和歌山から移り住んだ井部栄範(1842 ~ 1914)。後に還俗(げんぞく)して造林思想を地元で広め、育苗植樹に努めた。
 

 下畑野川の林業家、岡信一さん(69)は、広葉樹を含めた複層林経営をしている。山には先祖から受け継がれてきた、丁寧に枝打ちされた樹齢約130 年のスギの大木も。見事な樹木と良材生産に情熱を注ぐ林業家に出会えるのも、この山里の魅力だ。
 

(グリーンパワー2014年3月号から転載)

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