黒川(くろかわ)兵庫県

輪伐で菊炭づくり

茶道などに使う一庫炭(菊炭)の産地。輪伐により林齢1〜10年のクヌギなどがモザイク状の里山景観をつくる。昆虫の宝庫。

  • 交通:阪神高速11号池田線池田木部出口から車で30分/能勢電鉄妙見口駅から車で5分
  • 特産:菊炭
  • 食事:しゃらん・ど・らーは(ピザ,自家有機農場)072-737-0412/犬甘野風土館季楽(そば)0771-27-2300/中政園(鍋,バーベキュー:要予約)072-739-0895
  • 直売:JA兵庫六甲「四季の郷」072-791-1312
  • 宿問い合わせ:川西市観光協会 072-740-1161
  • 関連ウェブサイト:川西市観光協会

※ 交通アクセスや店舗情報などは、お出かけ前にご確認ください。

※ 車ナビは、里を訪れる際の目標ポイントを数値化したマップコードで、()内が施設名や地点です。地図では★で示しました。カーナビのマップコード検索で利用できます。

2014年02月06日

ガイド にほんの里100選2 グリーンパワー2014年2月号から

台場クヌギが並ぶ 菊炭の里

 
 落葉広葉樹のクヌギを原料とした、茶道用の「菊炭」の産地として知られる。炭焼き窯が現役で稼働しているため、山の斜面には生育段階のずれたクヌギ林がパッチワーク状に見られる。兵庫県立大学名誉教授の服部保さん(65)は「こうしたクヌギ林の輪伐(りんばつ)景観が残っている黒川は、天然記念物に値する」と言う。

断面がキクの花のように見える菊炭


 
 ここを特徴付けているのは台場クヌギの存在だ。地上1~2mの高さで幹を伐(き)り、そこから新たに萌芽(ほうが)してくる枝を育てては、伐採することを繰り返す。このため土台となる幹がずんぐりとした形になり、このような名前で呼ばれる。萌芽の生育が早いことやシカの食害を受けにくいことなどから、広まったらしい。

 
 もう一つの代表的樹種は桜の仲間のエドヒガンで、黒川には大木の群生地がいくつかある。エドヒガンの花が咲き、クヌギの新緑が映える春の森には、多くのハイカーが訪れる。

 
 森とともに草原や低木林がある多彩な環境には、野生の草花が美しさを競い、多くの昆虫が誘われてくる。明治期の木造校舎が残る黒川公民館(旧黒川小学校)は子どもたちの自然体験など、地域活動の拠点として維持されている。

ずんぐりとした台場クヌギが立ち並ぶ黒川の里山


 
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 もっとも炭の生産が減るにつれ、荒廃したクヌギ林も目立つようになっている。このため林を手入れし、里山の景観を守る多くの作業を、今では森林ボランティア団体が担う。その一つである「菊炭友の会」は、エドヒガンの多い「黒川・桜の森」を拠点としつつ、地区内の放置林に出向いてはクヌギを伐採し、元気な林へ戻す活動に汗を流している。同会代表の大門宏さん(72)は「伐りっぱなしではクヌギそのものが駄目になる。伐った後も周りの草などを刈って、3年間は手入れを続ける必要がある」と話す。こうした人々の手が加わることで、里山の循環が今も保たれている。
 
(グリーンパワー2014年2月号から転載)

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