海辺に並ぶ瓦屋根の家
海に突き出した半島部にあり、周囲に迫る緑の山と入り組んだ深い海とに挟まれた漁業の町だ。高台から見下ろせば、瓦屋根の民家が海沿いにびっしりと立ち並んだ昔ながらの漁村の風景を一望できる。
江戸時代には、大坂と江戸の間を行き来する船が、風待ちのために立ち寄った。かつての浜には近くを回遊するマグロやカツオの恵みがもたらされ、現在ではタイなどの養殖が営まれる。
1982年に県道が開通するまでは車で訪ねることができず、「陸の孤島」と呼ばれた。約100年にわたって尾鷲市街地への住民の足となっていた巡航船は、2012年に廃止された。陸続きの紀北町とのつながりも深まっている。
(グリーンパワー2017年3月号から転載)