船板を使った住居群
江戸から明治にかけての時代に、日本海岸を経由して北海道と上方をつないだ北前船。富を築いたその船主ら の屋敷が残る丘陵地の集落だ。建物や塀は縦板張りで、船の古材が再利用されている。それに加えて、青みがかった笏谷石(しゃくだにいし)の石垣や石段、赤褐色の瓦が特徴的な街並みを生み出している。2005 年には国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、街並みの保存会も活動する。
1876(明治9)年に船主の酒谷長兵衛により建てられ、オエと呼ばれる30 畳の大広間などがある屋敷は現在、北前船の里資料館(0761・75・1250)として公開されている。8寸(約24cm)角のケヤキ材の柱など最高級の建材が使われ、船主の豊かな暮らしぶりがうかがえる。